土曜日の夜

雨の日は、空に重たさが必要以上にある。

雲が一面に広がる空には、空間が見当たらなくって、グレーでもない、何とも言えない、今日は黄土色。グラデーションすらないから重い。

影がないし、風がなくて、動きもない。たぶんないとこだけに視点をおきがちになる気分にさせるのも雨のせい。

 

窓の外には、向かいのマンションのステンドガラスが見えて、その景色がこの部屋からの一興であるのに、空がそんな調子なので気分もノリません。

晴れた日は、上空を頻繁に飛行機が飛んでいる。ライトが光っていて動いている。

飛行機に初めて乗ったのが、小6の時で、それまで空に光るライトは飛行機だと言われてもさっぱり意味がわからなかった。

私の知っている飛行機は、新幹線に羽が生えたような大きな乗り物なのに、今見えているライトがちかちかして実体の見えないあれに人がたくさん乗っているなんて、意味がわからなかった。

かなり高いところを飛んでいるんだね。

 

最近、この部屋から引っ越したいとすごく思っている。

半年以上前に、音楽の趣味のかなりいい感じの下の部屋の人が引っ越して(おそらく水漏れで)、3週間くらい前に、隣の部屋の人が引っ越して(おそらく子供が産まれて)、私も引っ越したくなった。

部屋に不満はほぼない。ベランダに出れば、空港が近いこともあって、だいたい飛行機の飛んでるのをぼーっと眺める一興があるし、ステンドグラスは好きだし、少し遠目には開発地のタワーマンションがあって、部屋の明かりが遠巻きに、いい感じ。

 

雨の日もおそらく、同じ現象が起こっているのに目にはいってこない。

そんな時は、誰かとこの景色を共有して、LEDライトの発光の原理とかについてぼーっと話したい。

私が見ている景色は、私しか見ていないので、誰かに見せてしまいたい。

そして、その人が見ている景色について、私の見ていないその景色について、聞かせておくれよ。

 

11月23日に、FishmansのライブDVDが再販されて、「記憶の増大」「若いながらも歴史あり」「男達の別れ」の3本、買ったそれを見ながら文章を書いていたら、土曜日の夜が流れてきて、私が初めて聞いたFishmansの音源なので、やっぱ好きだなぁと思いました。

そしてちょうど土曜日の夜でした。